設立趣意書

 経済のグローバル化が私たちの暮らしまでを脅かし、格差・貧困・孤立・分断が加速しています。2020年初頭から急激に拡大した「新型コロナウイルス感染症」は、様々な社会問題を顕在化させました。問題は複雑化し、全世代に渡り不安が増大しています。

コロナ禍の影響は非正規雇用労働者、特に若い世代、女性に大きく、格差貧困も広がっています。問題解決の本質は、自分で考え行動する人をおおぜいにすることであり、協同する場を多様に生み出し、人と人が支え合うことを価値とする社会の醸成です。すべての人の命をつなぐこと、生活すること、働くことが一人ひとりの心の喜びや地域の豊かさにつながる社会への転換をすすめていくことは、待ったなしの共通課題です。

生活クラブ生協は50年以上にわたり、地域に住む組合員を主人公にしながら多様な活動や運動の主体を生み出し、マルチステークホルダー型で問題解決をすすめてきました。その主体の一つがワーカーズ・コレクティブです。

生活クラブ神奈川のデポーの運営を担う「にんじん」が、1982年に全国最初のワーカーズ・コレクティブとして設立されたことを皮切りに、1989年にはワーカーズ・コレクティブの発展と社会化を推進するために中間支援組織としての「神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会」が設立されました。同年、高齢社会を見据えて、福祉の専門生協である福祉クラブ生協が生活クラブ生協から生み出されました。2004年ワーカーズ・コレクティブ運動をより社会へ広げていくため法人格を持つ特定非営利活動法人ワーカーズ・コレクティブ協会をもう一つの中間支援組織として神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会と役割を分けて設立し、神奈川の中で連携して活動してきました。

これまで生活者の視点から新しい働き方のワーカーズ・コレクティブ運動と参加型福祉の実践を広げてきました。また、多様な人達の「働き場」としてワーカーズ・コレクティブの社会的価値が再認識されました。就労支援の実践を通して、誰もが生きていける、その人らしく働く、社会参加にむけて障がいがない社会をめざし、経済的困窮と社会的困窮(孤独・孤立)を同時に解決する支援の仕組みづくりに取り組んできました。

新たな中間支援組織は「新しい公共を拓き、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するためワーカーズ・コレクティブ(協同労働)を真ん中におく地域社会づくりをすすめる。」ことを理念とし、市民参加によるまちづくりとしてのワーカーズ・コレクティブ運動を発展させていきます。ワーカーズ・コレクティブとアソシエーションを地域に多様に広げてネットワークしていくことでグローバル資本主義に対抗し、地域を基盤とする参加型のコミュニティ経済・社会的連帯経済の実態づくりを進めることをめざします。

 神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会と特定非営利活動法人ワーカーズ・コレクティブ協会、生活クラブ生協は、すべての人の命や暮らしを基本とした協同組合の理念・価値と民主主義に基づく、持続可能な地域(まち)をつくりだす仕組みとして「ネットワーク型の新しい中間支援組織」を設立します。 

2024年7月20日 設立総会議案書より